量子計算論(Quantum Computing)

量子計算の高速並列シミュレーション

1985年に、英国の物理学者ドイッチュ(David Deutsch)は、「量子チューリング機械」という新しい計算モデルを提案した。この量子チューリング機械をモデルとするコンピュータのことを「量子コンピュータ」と呼ぶ。1994 年に、米国 AT&T のショア(Peter Shor)は、量子チューリング機械上で、大きな整数の因数分解を小さな誤り確率で高速に行えることを示した。整数の因数分解は、その桁数が大きくなると、スーパーコンピュータでさえも高速には行えない作業であると考えられている。そこで、もし量子コンピュータを実際に作ることができれば、ショアのアルゴリズムを用いて因数分解を高速に行うことができる。しかし、量子コンピュータの実現には、まだ相当の年月がかかりそうである。そこで、当研究室では、GPGPU という汎用画像処理ユニットを用いた、量子計算の高速並列シミュレーションの研究を行っている。

量子計算原理に基づく新たなアプリケーションの創出

量子コンピュータ研究の基本的アイディアは、量子力学の原理を用いて、計算を根本的に高速化しようというものである。この考え方を応用して、当研究室では、量子セルオートマトンに基づく新たな暗号方式や、画像圧縮方式の研究を進めている。さらに、量子ゲーム理論に基づくシミュレーション技法を、コンピュータゲーム(大貧民)に応用している。このように、量子コンピュータの原理を情報処理に応用することで、暗号や画像圧縮などの、(既存のコンピュータ上における)新たなアプリケーションを開発していくことは、近い将来に実行可能な研究課題である。