計算論的ゲーム理論(Algorithmic Game Theory)

「コンピュータ大貧民大会」

人間の諸活動は、すべてある意味でゲームであるという見方がある。そのくらい、人間は、ゲーム好きな生き物である。当研究室では、ゲームに関して、人間とコンピュータとの両方について、面白くチャレンジングな研究を展開して行きたいと考えている。その一例として、情報科学のエッセンスを楽しく学んでもらおうと、「コンピュータ大貧民大会」を毎年11月に開催している。トランプの「大貧民」のコンピュータ・プログラムを全国から募集し、プログラム同士を高速対戦させて、大貧民をプレイするアルゴリズムの優劣を競わせる大会である。ご興味のある方は、是非、ご参加いただきたい。
 UEC コンピュータ大貧民大会

「量子ゲーム理論とその応用」

ゲーム理論とは、複数のプレイヤーが存在する状況下において、それぞれのプレイヤーがどのような行動が取るべきかを研究する学問である。この理論は、経済学、生物学、心理学、論理学等、広範な応用分野を持っている。たとえば、経済学の分野では、株の売買を行う人をゲームのプレイヤーと見なし、その行動を解析する研究も行われている。
量子ゲーム理論は、このゲーム理論を拡張した新しい理論である。量子ゲーム理論においては、ゲームに参加する各プレイヤーは量子的な動作が可能となっており、さらに量子ビットを持っている。各量子ビットの間には、ワイヤー等の物理的な通信路は存在しないが、量子もつれ合い状態を利用することにより、各量子ビットの値は何らかの相関を持つことができる。量子ゲーム理論では、これらの性質を生かし、従来のゲーム理論では生じない現象を起こすことができる。たとえば、通信路を持っていない2人のプレイヤーに協調動作を行わせることや、量子的動作を行うことのできないプレイヤーから利益を得ることができるようになる。
しかしながら、量子ゲーム理論の研究は、まだ理論研究に留まっており、実問題への応用については、今後の研究課題となっている。そこで、当研究室では、量子ゲーム理論に応用することにより、従来のゲーム理論では解決できなかった問題を解決できないかについて検討を進めている。具体的には、実問題に関する研究の一環として、量子ゲーム理論のトランプゲームへの応用について研究を始めている。そこでは、量子ビットを用いると、どのような情報伝達が行えるかを明らかにすることが大変重要である。
以上のような研究を通じて、新たな計算原理を解明し、それを情報処理に活かすために、自然界や人間、さらには人間社会の仕組みについて学んでいく姿勢で研究を続けて行きたいと考えている。こうした情報処理とコンピュータの最先端分野を、他の分野の最先端研究の成果を取り入れながら研究していけることが、当研究室の最大の特徴だと考えている。